ああ、今日も君が好き。
「そう言えば、いつユッキーん家に引っ越すの?」
「………決まってない」
「は?まだ話詰めてないの?」
「うん」
「おっそ。それで本当に引っ越す気あるわけ?」
「あるけど…」
俺は海老ドリアを口に運んで言葉を殺した。
「けど?何よ、その煮え切らない感じは?」
「……別に。てか、早く見吉さんの連絡先送れよ。引越しの日程決められねぇじゃん」
「サーヤに隠し事?柴ケンのくせになっまいきー」
「俺のくせにってどう言うことだよ。いいから早く送れって」
「はいはい。もう柴ケンはせっかちさんなんだから」
「誰がせっかちだって?」
「てか、ユッキーの連絡先知ってんじゃん。あたし教える必要なくない?」
「アドレスは知らない」
「欲張りだな」
「後、LIMEも紹介して」
「はいはい、そーしん。今送ったから確認してね」
「ん」
ysh.14genbu@××××××.com.jp
「……げ、んぶ?」
何、それ…?
ゲンブって何?
「届いた?」
「え、あー…」
「あれ、何か違うの送っちゃった?」
「いや、そうじゃなくて…」
「じゃあ何よ?男なんだからはっきり言いなさいよね」
「だから別に大したことじゃねぇんだけど、見吉さんのアドレスがちょっと気になって…」
「アドレス?」
サーヤは自分の携帯を見て見吉さんのアドレスを確認する。
「どこが?“ysh”?“14”?」
「“genbu”ってとこ」
「気になるって何が?誰かの名前なんじゃないの?」
「誰かって…」
だから気になってるんだろうが。
「はっはーん。もしかして柴ケンのくせに一丁前にヤキモチですか?」
「なっ!?」
「あははっ、やっぱり柴ケンって顔に出易いね」
そう言ってサーヤはニヤニヤと笑みを浮かべて俺を挑発する。
俺は何気に人間観察が得意なサーヤにこれ以上下手に突っ込まれないように、もう冷めてしまった海老ドリアを口一杯に頬張った。