ああ、今日も君が好き。
「ちょっと無視はやめてよね、サーヤ傷付いちゃう」
「アホか」
「で、柴ケンはその“genbu”が気になるわけだ」
「別に」
「隠さなくてもいいじゃん。てか、顔に書いてあるし」
「………気にならなくはない」
「うん、人間素直が一番だね」
どの口が言うんだか。
「とは言っても、サーヤもその“genbu”については全然知らないんだよね」
「結局知らねぇのかよ」
「でもユッキーの口から“genbu”なんて聞いたことないよ。それにユッキーも彼氏いないって言ってたし」
「そうだけど…」
「まあ、メアドに名前入れるなんて今時やんないし、彼氏とかではないんじゃないの」
「………」
嫌なイメージしか思い浮かばない。
口に出して言いたくないが、そう言う時って大体「大切な人」って相場が決まってる。
でも見吉さんは彼氏いないって言ってたし、と言うことは元彼って可能性も…。
てか、もし見吉さんに彼氏がいたら見吉さんの家に住まわせてもらうのはマズいんじゃないか。
いくら友達でも一応俺も男だし、見吉さんが良くても彼氏の方が嫌がるに決まっている。
もし俺が同じ立場だったら絶対に嫌だ。死んでも死守する。
ああ、クソ。
モヤモヤする。
見吉さんに彼氏がいると思ったら気分悪くなって来た。
恋人になりたいわけじゃないって言ったばかりなのに矛盾している。
「ねぇ、そんな気になるなら本人に聞いてみれば?」
「はぁ!?」
何を言うかと思いきや、サーヤはとんでもない提案をした。
「聞けない?だったらサーヤが…」
「い、いいいいいい!やめろ!絶対本人には聞くなよ!」
「でも気になるんでしょう?だったら本人に確認するのが手っ取り早いじゃん。柴ケンが自分で聞けないんだったらサーヤがそれとなく聞いてあげるけど」
「だからいいって!知りたくなったら自分で聞くから!」
「本当?柴ケンって結構ヘタレだから直前になって怖気付くんじゃない?」
「誰がヘタレだ!」
「だから柴ケンだってば」
自分がヘタレだと言うことは自覚済みだが、他人に言われると中々ムカつくな。
そんな気持ちを払拭するかのように、自分の携帯を開いて見吉さん宛にLIMEを送った。