ああ、今日も君が好き。
「たっ、退去ぉぉおおお!?」
「あのボロアパートから!?」
「……ボロは余計だよ」
俺は昨日の出来事について話した。
その内容と言うのがアパートの改修工事についてだ。
「何でまた急に?」
「それが耐震性に問題があるとかで近々工事が入る予定だったらしいんだけど、どうせ修理業者入れるならこの際アパートごと改築することにしたみたいで…」
「勝手だね、こっちの都合も考えないでさ」
「でも柴ケンには悪いけど、あのアパートなら仕方ない気もするな」
「だよな…」
「……そんなに凄いところなの?」
「……凄い、ね」
「中々のところだよね」
「古い、狭い」
「てか、ボロ屋?」
「そんなに?」
だからボロは余計なんだよ!
見吉さんに変に思われるだろうが!
見吉さん以外の三人は俺の家に何度か遊びに来たことがあるから、アパートの外観は容易に想像付くことだろう。
俺も前々からあのアパートは建て替えた方がいいとは思っていたが…、正直別に今じゃないくても良くないか?
本当タイミングが悪い。こんなことになるなら入居する時一言言って欲しかった。
「それで?いつまでに退去しなきゃいけないの?」
「三日後には…」
「三日!?」
「超急じゃん!」
「そうなんだよ。だから参っちゃってさ…」
「全然大したことあるじゃん!」
「ははっ…」
そう言われて苦笑するしかなかった。
さっきは皆に心配掛けたくなくて格好付けてみたが、実際のところ結構切羽詰っていた。
仮住まいを提供してくれるような大家じゃないから自分で探さないといけないし、何より今月は金欠でその日の食料を調達するのでやっとだった。
それなのに「工事が終わるまで新しいところ行ってくれる?ほら、近所に親戚の人が住んでるって言ってたじゃない」なんて簡単に言ってくれちゃって、他人事だと思って酷過ぎる。
まあ、大学から近くて家賃も一番安いところを選んだから仕方ないのだが。