黒皇帝は幼女化した愛しの聖女に気づかない~白い結婚かと思いきや、陛下の愛がダダ漏れです~
どうしたらいいのかしらと考えあぐねていたところに、花瓶を抱えた侍女が部屋に入ってきた。
「カリーナ、ちょうどよかったわ」
「なんでしょう、皇后様」
なんとあのブルックリー侯爵令嬢が、侍女として私に仕えはじめたのだ。
数日前、彼女が突然『王宮侍女になりたい』と願い出てきた。
カリーナは幼なじみの男性と想いあっており、その人と一緒になりたかったけれど、相手の身分が低いからと父侯爵は許してくれなかった。
その後皇太子と婚約させられ、絶望のあまりすべてを諦めてしまっていた。けれど皇太子の病気で婚約が白紙になり、カリーナの胸に今度こそ幼なじみと一緒になりたいという希望が湧いた。
しかしながら、今度はルナルド陛下の側妃にしようとたくらむ父を見て、彼女はこれ以上父の道具になりたくないと吹っ切れたそうだ。
『たとえ一生独り身になったとしても、自分の道は自分で決めて生きていきます』
そう啖呵を切ったカリーナに、侯爵はカンカンに怒り、半ば勘当状態で家を出てきたという。
その話を後で聞いたとき、私はまず、カリーナの想い人が陛下でなかったことにほっとした。
ロゼとして数時間話しただけだけれど、私は彼女の人となりに好意を抱いていた。できるなら彼女と競うような立場にはなりたくない。もっとも競ったところで勝てる気もしなかった。
けれどそうでないのなら、相談相手としてれほど心強い者はいないだろう。
私は、彼女を自分の専属侍女にしたいと陛下にお願いし、彼女は私に仕えることとなった。
「カリーナ、私が自分で食事を取れることを陛下に説明してもらえない?」
陛下が来られないときや、ティータイムのおやつなどは自分で食べている。毎回付き添ってくれる彼女なら、私がもう大丈夫だと証明できるはずだ。
お願い、と目で訴えたらにこりと微笑みが返ってきた。
よかった! これで陛下も納得してくださるわね。
ほっと安堵の息をついた――が。
「皇后様ご自身が陛下をご説得されるのがよろしいかと存じますわ」
「え⁉」
「わたくし、馬に蹴られるのはごめんですので」
ほほほ、と上品に笑ったカリーナは、持っていた花瓶をサイドテーブルに置く。
「カリーナ、ちょうどよかったわ」
「なんでしょう、皇后様」
なんとあのブルックリー侯爵令嬢が、侍女として私に仕えはじめたのだ。
数日前、彼女が突然『王宮侍女になりたい』と願い出てきた。
カリーナは幼なじみの男性と想いあっており、その人と一緒になりたかったけれど、相手の身分が低いからと父侯爵は許してくれなかった。
その後皇太子と婚約させられ、絶望のあまりすべてを諦めてしまっていた。けれど皇太子の病気で婚約が白紙になり、カリーナの胸に今度こそ幼なじみと一緒になりたいという希望が湧いた。
しかしながら、今度はルナルド陛下の側妃にしようとたくらむ父を見て、彼女はこれ以上父の道具になりたくないと吹っ切れたそうだ。
『たとえ一生独り身になったとしても、自分の道は自分で決めて生きていきます』
そう啖呵を切ったカリーナに、侯爵はカンカンに怒り、半ば勘当状態で家を出てきたという。
その話を後で聞いたとき、私はまず、カリーナの想い人が陛下でなかったことにほっとした。
ロゼとして数時間話しただけだけれど、私は彼女の人となりに好意を抱いていた。できるなら彼女と競うような立場にはなりたくない。もっとも競ったところで勝てる気もしなかった。
けれどそうでないのなら、相談相手としてれほど心強い者はいないだろう。
私は、彼女を自分の専属侍女にしたいと陛下にお願いし、彼女は私に仕えることとなった。
「カリーナ、私が自分で食事を取れることを陛下に説明してもらえない?」
陛下が来られないときや、ティータイムのおやつなどは自分で食べている。毎回付き添ってくれる彼女なら、私がもう大丈夫だと証明できるはずだ。
お願い、と目で訴えたらにこりと微笑みが返ってきた。
よかった! これで陛下も納得してくださるわね。
ほっと安堵の息をついた――が。
「皇后様ご自身が陛下をご説得されるのがよろしいかと存じますわ」
「え⁉」
「わたくし、馬に蹴られるのはごめんですので」
ほほほ、と上品に笑ったカリーナは、持っていた花瓶をサイドテーブルに置く。