黒皇帝は幼女化した愛しの聖女に気づかない~白い結婚かと思いきや、陛下の愛がダダ漏れです~
「ん……っ」

 角度を変えながら何度もくり返される口づけに、ただ陛下の肩にしがみついていることしかできない。全身が熱くなって頭がぼうっとしてきた頃、ようやく陛下の唇が離れていった。

 限界って……そういうこと?

 肩で荒い息をつきながら、思いがけず望みが叶いそうな気配に鼓動が鳴りやまない。

「本当に俺のものにしていいんだな?」

 今度こそ、彼が何を言わんとしているのかはっきりと理解する。キスの余韻と相まって顔が熱くてたまらない。うつむいたままコクンと頭を倒すと、陛下は無言でガゼボを出た。

 バラの生垣に囲まれた小道を、来たときとは比べものにならないほどのスピードで運ばれる。お互い無言のまま庭園を抜け、あっという間に寝室まで戻ってきた。

 陛下は私をベッドに下ろすや否や、たくましい四肢で私を閉じ込めた。真上から強いまなざしに射貫かれる。

「逃げ出したくなっても逃がす気はないぞ」
「逃げたりしません。どこまでも陛下について行きます」
「たとえ帝国がこの先どうなろうと、俺はおまえを手放す気はない。行きつく先は地獄かもしれないぞ?」
「望むところです」

 もちろんそんなことにはならないと確信しているし、私も聖女として陛下と帝国のために全身全霊で祈りを捧げるつもりだ。
 けれど地獄へ堕ちたとしたら、そのときこそ大聖女の見せどころかもしれない。

 陛下は私を見おろしながら唇の端を持ち上げる。

「俺の小悪魔聖女は頼もしいな」
「悪魔ではなっ――んんっ」

 降ってきた唇に言葉を奪われた。

 深い口づけに翻弄されているうち、気づいたら夜着を脱がされていた。

「あ……っ」

 あらわになった肌に口づけをされ、あられもない声が漏れる。
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