黒皇帝は幼女化した愛しの聖女に気づかない~白い結婚かと思いきや、陛下の愛がダダ漏れです~
目の前で陛下が片ひざを立ててしゃがんだ。私の顔をのぞき込むようにして再び頭を撫でた。
「泣くな。そんなに花が欲しかったのか? 庭園のあちら側には他にもきれいな花が咲いている。それならいくら摘んでもいいぞ。連れていってやろうか」
私はもう一度だけかぶりを振った。
優しい陛下にこれ以上心配をかけてはだめよ。
服の袖で目元をゴシゴシとぬぐい、息を大きく吸い込んで顔を上げた。
「へーか。皇后様のためにバラを摘むのもだめですか?」
「オディリアのため?」
「はい。皇后様の枕もとにバラを飾るのです。バラは女神様が好まれるお花で、聖女様にもよい影響をもたらすそうです」
「詳しいな」
鋭い指摘にドキッとした。
「えっ……えっとそれは……叔父さんの……」
「妻の従妹?」
「そう! その人から聞きました!」
勢いよく答えると、陛下がクスリと小さく笑った。
「ではさっそく皇后のためのバラを摘もうか」
「はい!」
陛下と一緒にバラを摘み始める。
「切るのは俺がやる。ロゼはどの花がいいか選べ」
「はい」
私が選んだバラを陛下が小刀で切ってくれる。私が棘でケガをしないよう配慮してくれているのだ。
やっぱり陛下はとてもお優しい方だわ。
目覚めたら一番に、陛下はすばらしい皇帝だと伝えよう。
きっかけは神託だったけれど、今は心の底からあなたの妻になれてよかったと思っているということも。
そのためにはなんとしてでも本体に戻らなければならない。
絶対に何か手はあるはず。考えるのよ、オディリア。
甘くみずみずしい香りの漂う庭園で、ひとり心の中で自分を叱咤した。
「泣くな。そんなに花が欲しかったのか? 庭園のあちら側には他にもきれいな花が咲いている。それならいくら摘んでもいいぞ。連れていってやろうか」
私はもう一度だけかぶりを振った。
優しい陛下にこれ以上心配をかけてはだめよ。
服の袖で目元をゴシゴシとぬぐい、息を大きく吸い込んで顔を上げた。
「へーか。皇后様のためにバラを摘むのもだめですか?」
「オディリアのため?」
「はい。皇后様の枕もとにバラを飾るのです。バラは女神様が好まれるお花で、聖女様にもよい影響をもたらすそうです」
「詳しいな」
鋭い指摘にドキッとした。
「えっ……えっとそれは……叔父さんの……」
「妻の従妹?」
「そう! その人から聞きました!」
勢いよく答えると、陛下がクスリと小さく笑った。
「ではさっそく皇后のためのバラを摘もうか」
「はい!」
陛下と一緒にバラを摘み始める。
「切るのは俺がやる。ロゼはどの花がいいか選べ」
「はい」
私が選んだバラを陛下が小刀で切ってくれる。私が棘でケガをしないよう配慮してくれているのだ。
やっぱり陛下はとてもお優しい方だわ。
目覚めたら一番に、陛下はすばらしい皇帝だと伝えよう。
きっかけは神託だったけれど、今は心の底からあなたの妻になれてよかったと思っているということも。
そのためにはなんとしてでも本体に戻らなければならない。
絶対に何か手はあるはず。考えるのよ、オディリア。
甘くみずみずしい香りの漂う庭園で、ひとり心の中で自分を叱咤した。