幼なじみが連れてきた結婚相手がすごい俺様だった話
「この湯治の宿に行こうかと思うんです」
征也に突っ込んで訊かれ、充悟はタブレットで宿をいくつか見せていた。
「湯治に行くんですか?」
「いえ、そうじゃないですが。
時間もないし、すぐ帰りますけど。
こういうとこって、雰囲気良くないですか?」
「まあ、鄙びた雰囲気のところもいいですよね。
雪が降ったら、この世界に二人きり、みたいな……
実際は宿にいっぱい人がいるんですけど」
それ以前にまだ、うっすら暑いんですけど……。
何故か、征也と充悟が宿を見ながら、ああだこうだ言っている。
もう二人で行ったらどうだろうか……、
と男たちを眺めながら、晴乃はカリカリでしっとりなカヌレを食べていた。