幼なじみが連れてきた結婚相手がすごい俺様だった話
道の駅を巡りながら、ドライブを続け、昼過ぎには目的の温泉郷に入っていた。
外国人観光客も多く、明るくて。
あんまり鄙びた湯治の場所という雰囲気はない。
ちょっと思ったのと違ったかな、と思ったが、森に囲まれた昔の豪農の屋敷だという宿に着くと、それっぽい雰囲気になってきた。
今どき見ないような古い木製のカウンターで受付をし、若い仲居さんに部屋に通される。
大正とか、昭和初期にタイムスリップしたみたいだな、と晴乃は思った。
……いや、大正と昭和初期では全然違うんだが、なんとなく。
前を歩く仲居さんが笑顔で言う。
「最近は、湯治で来られるお客さんはあまりいらっしゃらないんですけど。
たまにはいらっしゃいますよ」
「そうなんですか。
素敵ですよね、湯治の宿。
雪に囲まれた静かな世界って感じで」
と晴乃は言ったが、仲居さんは、すみません、と苦笑いして言った。