幼なじみが連れてきた結婚相手がすごい俺様だった話
「まあ、ここ、雪が降ることは滅多にないんですけどね」

 うむ、まあ、そんな感じですよね、と思いながら、外はまだ明るいのに薄暗い廊下を歩く。

 途中、売店があった。

「野菜とか売ってますね」

「自炊の材料とか、一通りの生活必需品はそろうようになってるんですよ」
と微笑む仲居さんの後ろでは、『電子マネー使えます』の赤い旗がはためいていて、一気に令和に引き戻される。

「でもなんかいいな。
 愛の逃避行みたいだな」

 離れの部屋に向かって歩きながら、充悟は笑う。

「我々は一体何から逃避してるんですかね?」

 家族にも、そこそこ歓迎されている結婚だというのに。

「――あえて言うなら」
「あえて言うなら?」

「高江さんかな?」
「……ここまで追ってこないと思いますよ」
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