最期の晩餐
 私の体調を配慮してくれたのだろう。お医者さんが、仏に思えた。ここのクリニックはきっと、神様と仏様と天使が運営しているんだと思う。

神様と仏様たちに血液検査と画像検査をしてもらい、

「急性胃腸炎ですね」

 病名が発覚した。……まぁ、そんなことだろうとは察しがついていましたさ。

「……胃腸炎。食中毒ではないですよね?」

 違うとは思いつつ、一応確認する。食中毒だったとしたら、本当に大変なことになる。絶対に林さんが作ったアイスが原因じゃないのに、検査機関が入ってしまうかもしれない。私のせいでとんでもない迷惑が掛かってしまう。ホスピスの信用問題にも係ってくる。

「体内のイオン濃度もちゃんと調べさせてもらったんだけどね、ウイルス性じゃなくて心因性の方だと思うよ。最近、ストレスを感じることが多かったりしませんでした?」

 お医者さんが「もし、眠れなかったり、食欲がなかったり、心が疲れてるなーって感じるようなら、精神科に紹介状を書きますよ。遠慮なく仰ってくださいね」と、私の精神面を気遣ってくれた。

 確かに今、心の状態は良くない。隼人のお母さんが亡くなり、隼人の浮気を目撃し、楠木さんまでいなくなってしまった。このトリプルパンチは、大喰らいで強靭な胃腸を持つ私であっても参ってしまったか……。
< 127 / 155 >

この作品をシェア

pagetop