最期の晩餐
 ベッドにコロンと横たわると、看護師さんが毛布を掛けてくれた。

やはり、座っているより寝ている方が遥かに楽だ。ベッド、最高。ベッドの素晴らしさを痛感していると、

「体温測りますねー」

 ベッドに連れて来てくれた看護師さんが、非接触の電子体温計を私の額に翳した。

 体温計からピピッという音が鳴って、表示画面を見た看護師さんが、

「四十度二分……。かなり高いですね。寒気はありますか? 毛布、もう一枚お掛けしましょうか?」

 予想以上に高い数字を口にした。私の普段の体温は、三十六度ジャストだ。いつもより四度以上高いなら、具合が悪くて当然だわ。と納得。具体的な数字を言われると、

「……じゃあ、すみませんがもう一枚……」

【四十度二分の私】が頭に刷り込まれてしまい、さっきまで何ともなかった寒気を感じてきてしまう。

 看護師さんに追加の毛布を掛けてもらい、自分の順番が来るまで布団に包まって寝る。

 毛布の暖かさと、クリニックのベッドという、何があっても大丈夫な安心感で、少しウトウトしていると、

「お待たせしましたー。高熱と腹痛ですね?」

 仕切りのカーテンが開き、お医者さんの方からベッドに来てくれた。
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