【ピュア青春BL】幼なじみの君と、ずっとミニトマトを育てたい。
 小皿にトマト四つと砂糖の瓶を持ってきた由希くん。
「律くんはお砂糖まぶしたら、ミニトマト平気?」
「うん、平気。ミニトマト、由希くんのお陰で食べられるようになった」
「これなら、一緒にトマトが食べられるね」

 由希くんはニッコリしながらミニトマト全体に、これでもかという程に砂糖をたくさんまぶした。そしてミニトマトのヘタを持ち、俺の口元にミニトマトを近づける。自然に俺の口は開く。頬張るとさっきのトマトよりも冷えていた。じっと見つめてくる由希くん。

「食べてる時に見られすぎると、恥ずかしいかも」
「あっ、ごめんなさい。律くんがミニトマト丸々食べられるのが嬉しくて」

 由希くんは慌てて視線を外し、続けて言った。

「そうそう、ミニトマトと砂糖を合わせたらイチゴの味になるの、イチゴをくれたおばあさんに聞いたの」
「そうだったんだ……由希くんはその組み合わせで食べてみた?」
「うん、試してみたよ」
「イチゴ味だと思った?」
「イチゴの味がした気がしたけれど、でも見た目がミニトマトだから、ミニトマトの味な気がしてた」

 俺は小皿から砂糖たっぷりなミニトマトのヘタを掴む。

「由希くん、恋人らしいことしていい?」
「さっきの逆バージョンだね。うん、いいよ!」

 由希くんはふふっと笑いながら長いまつ毛をばさっと揺らしながら目を閉じる。そしてふわっと柔らかく口を開けた。由希くんは今、口の中にミニトマトを入れられると思っている。俺もそうしようと思っていた。だけど――

< 101 / 105 >

この作品をシェア

pagetop