【ピュア青春BL】幼なじみの君と、ずっとミニトマトを育てたい。
 僕と律くんはお金を袴田くんに渡すと、カラオケのお店からそそくさと出た。外は太陽が沈む準備を始めていた。

約2時間だったけれど、すごく長く感じた。閉じ込められた屋敷を、無事に脱出成功できた気分になる。頬に当たる柔らかい風が、いつもより余計に心地よい。

駅から近いバス停まで、僕と律くんは並んで歩く。いつもなら律くんの背中を眺めているだけなのに、今、隣にいる。緊張もしているけれど、ソワソワもしている。

 「律くん、さっきの歌……すごく上手くて良かったよ」と、勇気を振り絞って話しかけてみた。言った後に何故か僕の顔が熱くなってくる。だけど、本当に良かったから、気持ちを伝えたくなって――。

 律くんは振り向き、少しだけ目を細めて口の端を上げる。

 律くん、笑った……? 

 久しぶりに見る律くんの表情に、胸がぎゅっとなり、鼓動は早くなる。平然を装い続けて僕は話を続けた。。

「……あの歌、実は僕の好きな歌なんだよね」
「うん、知ってる」

 し、知ってるの? 僕は理解が追いつかなくなった。律くんとは話もしないし、僕に興味はないだろうし。

 何故――?

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