【ピュア青春BL】幼なじみの君と、ずっとミニトマトを育てたい。
「迷ってるんだ?」

 律くんの声が聞こえてきて僕は花の世界から一旦、遠のく。律くんはもうすでに買い物を終えていて、小さい袋を持っていた。

「具体的に、どんなふうに迷ってる?」
「あのね、今年お小遣いが増えたから値段が高めな鉢植えにしようってのは決まってね、あとは今いっぱい咲いているやつか、これからたくさん咲くやつか、迷っているの」
「そうなんだ?」

 律くんは僕が迷ってるふたつを交互に見比べた。
 
「俺だったら、こっち」と、律くんが指さしたのは蕾がいっぱいあるほうだった。

「じゃあ、こっちにしよう。これから満開になる楽しみがあるよね」

 選んだカーネーションを持つとレジに向かった。

「母の日用に、可愛くラッピングしますか?」
「ラッピングしてもらえるんですか? お願いします」

店員さんはパステルピンクの布を鉢部分にオシャレに巻く。そして濃いピンクのリボンをさらに巻き、可愛くしてくれた。

「母の日用のピックの色、どれがいいかな?」

 『いつもありがとう』と書いてある3種類の長いピックを店員さんが手で持ち、見せてくれた。ハート型で白とピンクと赤がある。迷うなぁ、どれが一番可愛くなるかな。僕的には、赤がいいかな?って思うけれども……。僕は、センスの良い律くんに視線を送る。

「俺だったら、赤かな」
「わっ、同じ! 僕も赤かな?って思っていたよ」

 同じ色を考えていたことが、嬉しい――。

色も無事に決まり、そのピックを花の後ろに刺してもらい、ラッピングは完成した。

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