【ピュア青春BL】幼なじみの君と、ずっとミニトマトを育てたい。
 今年はペチュニアやビオラ辺りのカラフルな花を多めに植えようかな?
 それとも、トマトに合わせて黄色い花で揃えようかな?

 ここで植える苗を揃えようかなと思って眺めていると「もうバスが来る、行こう」と、律くんが僕に囁いた。

「もう時間か……きゅうりの苗だけ買っていこうかな」
「もう買ってある」
「えっ?」

 律くんはふたつの袋を持っていた。
 ひとつはプレゼント用のオシャレな袋だから多分プレゼントのお花かな? きゅうりの苗が入っているのはもうひとつの白いシンプルなビニール袋だと思う。

「ありがとう、バスの中でお金渡すね」
「いや、お金いらない」
「で、でも」
「とりあえず、綿谷のお母さんに渡すプレゼント、店員から受け取りな?」

 僕が受け取ると、バスが来る時間が迫ってきていたから急いで外に出て走った。なんとか間に合い、一番後ろの席に座るとホッとして胸を撫で下ろした。空いているバスは出発する。

――隣に、律くんがいる。

 こうして隣に、しかもめちゃくちゃ近くに座るのは久しぶりすぎた。他の人がこんなに近いとちょっと気持ちが窮屈だなと思うけれど、律くんが隣だと緊張して、何か不思議な気分。全身がムズムズしてくる。

「綿谷、手紙……」

 そうだ、手紙――!

 僕はハッとした。忘れていたわけじゃないけれど、今、隣に律くんがいるってことしか考えていなかった。

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