【ピュア青春BL】幼なじみの君と、ずっとミニトマトを育てたい。
 由希くんは固まり、動かなくなった。動き出すまで俺はじっと待つ。

「律くん、僕の誕生日覚えていてくれたんだ
……どうしよう、絶対に泣いちゃう」

 もうすでに由希くんは泣いていた。すぐに泣くところも、愛おしい。

「はい、これ。涙拭いて」

 拭いてと言ったけれども、俺がティッシュで由希くんの涙を拭いた。

「うれひい、律くん、絶対に誕生日を知らないと思ってだ……ありがとう、ありがとう」

 想像以上の反応で、嬉しい――。

「こんなに喜んで貰えると思ってなかった。由希くん、ありがとう」

 気がつけば、震える由希くんを優しく抱きしめていた。幸せな温もり。ずっと抱きしめていたかったけど、料理が冷めてしまうのが気になってくる。

「由希くん、ご飯食べよ?」
「うん、そうだね」

 由希くんはオムライスを口に入れた。どんな反応をするのか、じっと様子を伺う。

「おいひい……」

涙を滲ませながらの満面の笑みに、ほっとした。由希くんの反応が見れたから俺も料理に口をつけた。味は……今までで一番良い。美味しくできて良かった。ふたりは静かに食べる。

「全部美味しかった、ご馳走様でした!」

 由希くんは満足気な笑みを浮かべる。

 由希くんはいつもご飯を食べる時はのんびりしている。だけど今日はいつもよりも早くご飯を食べ終えた。本当に美味しかったのだなと思えてきて、気持ちは高まった。

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