チャラい社長は私が教育して差し上げます!
「そんな優秀な神徳さんなら、どうしてあんなにやる気が無いの?」

「やる気が無いのは知らなかったけど、彼ならそうでしょうね」

「どうして?」
「拗ねてるんじゃない? 彼は開発の人だから、開発部に戻りたいんだと思う。経営には興味無いだろうしね」

「だったら、何でそんな人を社長にしたんだろう」

そう。私の一番の疑問はこの事だ。誰かにずーっと聞いてみたかった。会社のためにも、本人のためにも、決して利益のある判断とは到底思えないから。

「それはね……あ、ちょっと待って? 店員さん! 肉じゃがとブリ大根をお願いします。一つずつで」

う……早く言ってほしいのになあ。

「やっぱり肉じゃがとブリ大根は外せないよね?」

「そうだけど、早く言ってよ。なぜ神徳さんを社長にしたのかを!」

「ああ、ごめん。ヤケクソなんじゃない?」
「はあ?」

「言い方を間違えたかもだけど、要するに会社自体にやる気が無いからだと思う。どうせ”繋ぎ”だからって」

「”繋ぎ”なの?」
「たぶん、そう。うちの会社がH社と経営統合するのは、舞も知ってるでしょ?」

「うん、知ってるよ。それによって、うちの会社は良くなるって、私は期待してるの」

「舞は甘いわ。イカのお刺身よりも甘い!」

だから、イカと比べられても……
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