チャラい社長は私が教育して差し上げます!
私は私服に着替え、時計と社長室のドアを交互にチラチラ見ていたら、中から社長が出て来たので、周囲の人に会釈しながら、社長の元へ小走りで行った。

そしてエレベーターに乗り、一気に地下1階へ降りた。自社ビルの地下は、駐車場になっているからだ。

社長の後ろを歩いていると、前方にド派手な真紅のスポーツカーが見えて来た。しかもそれは、我が社が誇る夢のスポーツカーR2020だ!

そして、社長がズボンのポケットに手を突っ込み、取り出したリモコンらしき物を操作すると、ピュピュっという甲高い音と共に、R2020のハザードが点滅した!

嘘でしょ!? 社長の車って、これなの?

「格好いいだろ? 俺の”マイカー”」

”俺の”と”マイ”が被ってるけど、まあいいでしょう。

「は、はい。肉眼で見るのは、これが初めてです。よく買えましたね?」

「買える訳ないだろ? これは社有車だ」

「だったら、マイカーじゃないですよね?」

「チッ。つべこべ言わずに早く乗れ」

「はい。あ、でもガルウィングって、開いた事が……」

R2020のドアはガルウィングドアで、開くとカモメの翼みたいで、格好いいというよりも可愛いって感じだ。

でも私は、実際に開閉した経験が無い。

「ああ、そうだよな。意外に簡単だから……」

と言いながら、社長はR2020の助手席側に来て、ドアの開閉操作を教えてくれた。

「な? 簡単だろ?」
「まあ……はい」

助手席に乗り込んだら、シートは低いし、まるでルマンとかのレーシングカーに乗ったみたいだった。実際にレーシングカーに乗った事はないので、あくまでイメージだけども。

社長も運転席に乗り込み、スタートボタンを押してエンジンを始動したのだけど、予想に反してすごく音が静かだった。エンジンが掛かってるのか掛かってないのか、判らない程に。

暖気運転を2~3分してから、R2020は静かに走り出した。
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