チャラい社長は私が教育して差し上げます!
突然の同居
社長がラボに入ってる間、私は待つ事になった。

「うわぁ、すごーい!」

社長のお勧めの2階に上がると、窓から見える外の景色の素晴らしさに、私は思わず感嘆の声を漏らした。

長大なテストコースが眼下に広がり、まるでレース場みたいだ。そこをアラレちゃんが疾走するのが見られたら、きっと感激するんだろうなあ。

私はベンチに腰掛け、今後の事を考えた。先ずやるべきなのは、チャラい社長の容姿をなんとかする事だと思う。緊急経営会議までにはそれをしないと、役員達から軽く見られると思うから。

そして緊急経営会議について考えたけど、よく解らない事が色々あった。特に解らないのは、誰を招集すべきかだ。

うーん、誰かに相談したい。あ、そうだ。恵子なら総務だから私よりは詳しいかもしれない。明日にでも相談しようっと。

ああ、上手く行くといいなあ……


誰かに肩をポンポンと叩かれ、私は目を覚ました。いつの間にか眠っていたらしい。

「お休みのところを悪いが、帰ろうか?」

私の肩を叩いたのは、社長だった。

「あ、はい。すみません」
「いいって」

私達は開発工場の建物を出て、R2020に乗り込んだ。ガルウィングのドアは、社長が開けてくれた。

「家まで送ってくよ」

エンジンを始動しながら社長が言った。

「いえ、そんな。どこかの駅で降ろしていただければ……」

「遠慮すんなって」
「遠慮じゃなくて、その……」

「ん? じゃあなんだ?」
「アパートが古くて、恥ずかしいって言うか……」

「そんな事、気にすんな。ナビをセットするから、住所を言ってくれ」

「はい」

私は住所を社長に告げ、社長はそれをナビに設定し、車は静かに走り出した。

ガッちゃんや榊さんや斯波さんなんかの話をしている内に、私のアパートに着いた。まだ外は明るく、終業時刻にもなっていない。これって、早退になるのかな?

「私のアパートは、あれなんです……あっ」

アパートを指さそうとしたら、嫌な光景を見てしまった。
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