チャラい社長は私が教育して差し上げます!
私は聡にラインのメッセージを書いた。

『聡が女の子を部屋に連れ込むのを見ました。
もう私は帰りませんし、アパートは解約します。
なので、なるべく早くアパートから出て行ってください。
お元気で』

こんな内容を。そして送信ボタンを押して、すぐに聡をブロックした。

「元、彼氏にラインを送ったのか?」
「はい」

「ない……」
「泣きません」
「あ、そう」


私達は、社長が時々行くらしいイタリア料理のお店へ行き、夕ご飯をご馳走になった。

牛肉のタリアータという物を初めて食べたのだけど、少し酸味があってとても美味しく、一緒に飲んだノンアルコールの赤ワインも、言われなければノンアルとわからない程美味しかった。

その後はコンビニに寄ってもらい、歯ブラシセットやミニボトルのシャンプーセット、ボディタオル、フェイスタオル、お茶のペットボトル、そして下着なんかを買った。

ちなみに社長はガムを買っていた。

「ずいぶん買い込んだな?」
「そうですかね」

確かにレジ袋はパンパンに膨れているけど、まだ何か足りない気がして不安だった。


社長の家は、予想はしていたけど、タワーマンションだった。

地下の駐車場に真紅のR2020を駐め、エレベーターで一気に20階まで上がった。部屋番号は、これも予想通り、2020だった。

「わかりやすいだろ?」
「ですね」

「車のナンバーも2020って、気付いたか?」

「あ、気付きませんでした」
「まだまだ、だな。朝倉舞」
「ちぇ」

社長に続き、「おじゃましまーす」と言って部屋に入ったのだけど、当然ながらすごく広かった。

今更だけど、私ごときがお邪魔して良かったのかと、恐縮してしまった。
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