チャラい社長は私が教育して差し上げます!
「今、湯を張ってるから、適当なタイミングで入ってくれ」

「はい。では、お借りします」

私はお風呂場へ行き、服を脱ぐと、先にシャワーを使わせていただいた。ただし、誰が使ったのかわからない、女物のシャンプーやボディタオルなんかは使わなかった。

その後浴槽を使わせていただいたけど、ゆったりと体が伸ばせて気持ちが良かった。

思えば昨日、今日は、激動の連続だったなあ……

お風呂から出ると、真っ白なバスタオルと、やはり白のスウェットとTシャツがきちんと畳んで置いてあった。私はコンビニで買った下着をつけ、Tシャツを着たのだけど、思った通りぶかぶかだった。ミニのワンピースを着たみたいになった。

スウェットは、試すまでもなく大き過ぎるので、穿かない事にした。

ドライヤーをお借りして髪の毛を乾かし、私はリビングへ戻って行った。

社長は、ソファに寝転んでスマホを見ていた。

「お待たせしました」

私がそう声を掛けると、社長は「おお、早かったな」と言ってこちらに顔を向けたのだけど、なぜか私の脚元を見て固まっていた。

「スウェットは穿かないのか?」
「私には大き過ぎます」

「そうか。しかし綺麗な脚してるんだな?」

「あまり見ないでください」

「ああ、そうする。自分のためにも」

「え? それって……」

どういう意味なんだろう。

「じゃあ、俺も入ってくる。冷蔵庫に飲み物があるから、好きな物を飲んでてくれ」

「はい」

社長はローテーブルにスマホを置き、お風呂場の方へ行った。

あ、解ったかも。”自分のためにも”の意味が。

やっぱり私はソファで寝ようっと。
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