チャラい社長は私が教育して差し上げます!
夜も更けて、私も社長も眠くなってきた。

「おまえ、本当にここで寝るのか?」

社長が言った”ここ”とは、もちろんソファの事だ。

「そうですよ。でも社長、毛布と、出来れば枕をお借りできますか?」

「ああ、いいよ。持って来てやる」

私は社長からお借りした枕をソファの肘掛けに乗せ、やはりお借りした毛布を体に掛け、横を向いて体を丸めた。体を丸めたのは、ソファの長さが少し足りないからだ。毛布からは、微かだけど男性特有の体臭が感じられた。

目を閉じ、今日の出来事を振り返っている内に、私は眠りに落ちて行った。


朝だと思うけど、ふと目覚めると、私は狐に抓まれたようだった。と言うのは、私はソファで寝ていたはずなのに、何とベッドに寝ていたのだ。

そして横を見れば、こっちに背を向け眠る社長の姿があった。

私は頭の中を疑問符でいっぱいにしつつも、社長を起こさないよう、そーっと布団から出ようとした。ところが、社長がくるっとこっちを向いてしまった。パッチリと目を開けて。

「あ、おはようございます」
「おお、早いな」

「あの、なぜ私はここにいるのでしょうか?」

「夜中に俺が運んだ」
「え? それはなぜ?」

「おまえの寝てる姿を見たら、見るに見かねた。あれじゃ体が痛くなる」

「でも……」
「心配するな。俺からは触っていない」

「”俺からは”とは?」
「おまえから抱き着いて来た。不可抗力だ」

あちゃー。

「どうもすみません」
「いいって。しかし何だな、コンビニもまだまだだな」

「と仰いますと……?」
「パンツに色気が無い」

ぱ、ぱぱぱぱ、パンツ!?

「見たんですか!?」
「違う。見えたんだ」

「同じです!」
「同じじゃないだろ? 不可抗力だ」

もう……
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