チャラい社長は私が教育して差し上げます!
「今日は自分でやる。これから始めるところだ」

「承知しました。もし予定表に追加する案件がありましたら、私にお知らせください」

「わかった。何も無いだろうけどな」

私はそれ、つまり社長が会議依頼や面会伺いを断る事については、何も言わない事にした。今は『ガッちゃん』が最優先だと思うから。

「今日のご予定なんですが……」

「開発工場へは行かない。その代わり、午後から舞のアパートに行って荷物を引き取ろう?」

「仕事中なのに、良いのですか?」

「堅い事は言うな。しゃ……」
「社長命令ですね。承知しました」

「その後は、行きつけの美容院へ行く」
「お願いします」

美容院で社長は髪を茶色に染め変えるはずで、それを以って社長はビジネスマンの”完全体”へ変貌を遂げる。今から楽しみだわ。ふっふっふ。

「そんなところかな。他に何かあるか……って、なに笑ってんだよ?」

「あ、失礼しました。何かやる事ですよね? えーっと……」

私は少し考え、ある事を思い付いた。

「私と同期の友人が総務部にいまして、緊急経営会議について彼女に相談したいのですが、よろしいでしょうか?」

「ああ、いいんじゃないか? 俺も参加するよ。当事者だから」

「承知しました。時間と場所は決まり次第お知らせします」

「おお、わかった。それと、昼飯は一緒に行こう? 12時10分前でいいか?」

「構いませんが、なぜ10分前なのですか?」

「12時だと店が混むからだ」

なるほど。課長や周囲の目が気になったけど、まあいいか。

「承知しました。では、後ほど」

ふうー。今日って結構忙しいわ。暇よりはいいけど。
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