チャラい社長は私が教育して差し上げます!
その足で、私達は社長が行きつけの美容院へ行った。予約は社長が自分でしていたらしい。

私は内線携帯で社長と自分のメールをチェックしたり、私用のスマホでお気に入りのインスタグラムを見るなどして時間を潰していたら、髪を少しカットし、濃い茶色に染め直した社長が戻って来た。

その社長の変貌ぶりは、私が想像した以上だった。ビジネスマンの”完全体”とは少し違うかもだけど、とっても素敵で、私は惚れ直してしまった。

そう。私ははっきり社長に恋してしまった。まだ出会って数日なのに、どのタイミングかははっきりしないのだけど、私は社長を好きになっていた。

「待たせたな。おかしくないか?」

「ぜんぜん、おかしくないです」

私はぶんぶんと首を横に振った。そして、小さな声で「素敵です」と言い、顔を熱くした。

「そうか、ありがとう。ついでに舞も染めるか?」

「い、いいえ、私は遠慮します」

私は髪を染めた事はない。髪が痛むのと、後のケアが面倒だから。でも社長の髪を見て、社長に合わせるのもいいかな、と思ってしまった。


私達が会社に戻ったのは夕方だった。秘書課のホワイトボードに記入した帰社時刻を少し過ぎてたけど、まあいいか。

ちなみに、言うまでもなく社長は、秘書仲間の注目を一身に集めていた。

私は自席に着くと、ノートPCの蓋を開けてグループウェアを起動した。そして、内線携帯で恵子の番号を呼び出した。
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