チャラい社長は私が教育して差し上げます!
「鶏肉と貝類とキノコだ」

車を走らせ、しばらくして社長がそう言ったのだけど、

「それは何ですか?」
「俺が嫌いな物だ。舞がさっき聞いただろ?」

「ああ、そうでしたね。それらは全般に嫌いという事ですか?」

「いや、名古屋コーチンとチキンカツは食える。それと、シジミとアサリとハマグリは食えるし、松茸とシメジとエノキは大丈夫だ」

「複雑なんですね?」
「そうでもないだろ?」

覚えきれそうもないので、私はスマホのリマインダーに今のを入力した。

「舞は何が嫌いなんだ?」
「私はもっと単純です。えっと、固いステーキと大きく切ったキクラゲと干シイタケ。あと、脂身が多過ぎる豚のロースもダメです」

「ちっとも単純じゃねえだろ。そもそも、嫌いな物とは違うと思うぞ?」

「そうですかね。あはは。社長は、お刺身とか肉じゃがなんかはお好きですか?」

「おお、いいねえ。じゃあ、今夜は取って置きの銘酒を飲むかな。舞は日本酒は好きか?」

「結構好きですね」
「そうか。なんか、楽しみだな」

という事は、今夜の献立はお刺身と肉じゃがをメインにして、ご飯の前にお風呂か。私はご飯の後にお風呂派なんだけど、これを期に趣旨替えしようっと。

社長にスーパーに寄ってもらい、一緒に買い物をした。今夜の食材だけでなく、明日の朝食用と、味噌などの調味料やお米も買ったので、カートに乗せ切らない程大量になってしまった。

ちなみに買い物の代金は私が出した。社長は出すと言ってくれたけど、社長にばかり出させては悪いから。実は秘書課に異動した事で、かなりの給与アップが見込まれる、というのもあったりする。

マンションに着き、私は2往復。社長は3往復して大量の荷物を部屋に運び込んだ。ちなみに車に積み切れるかはギリギリで、もちろんトランクルームにも入れ、私の足元も使った。R2020は格好いいけど、実用性は残念な車だった。
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