チャラい社長は私が教育して差し上げます!
「お父さんは、あの天才棋士を応援してるんだよね? 八冠の」
「今は七冠だ」
父と社長がハモった。
「俺も彼を応援してるよ。彼の将棋は凄いよ。AI超えだからな」
「社長は、去年の王座戦を観ましたか?」
「お父さん、直哉さんを”社長”って呼ぶのはやめない? 会社にいるみたいだから」
「だったら、何てお呼びすればいいんだ?」
「普通に”直哉君”でいいんじゃない。ねえ、直哉さん」
「おお、ぜひそうしてほしい。お義父さん、第3局ですよね? 八冠を達成した」
「そうそう。あれは痺れたねえ」
「はい。形勢1パーセントからの大逆転ですからね。鳥肌が立ちましたよ」
父と直哉さんは、二人の世界に入ってしまったみたいだ。
「社長、じゃなかった直哉君、一局差しませんか?」
「え? お父さんって、いわゆる”観る将”じゃないの?」
父が誰かと将棋を差すのは見た事ないと思う。父の部屋には立派な将棋盤があるけど、私はてっきり飾りだと思っていた。
「相手がいないだけだ。おまえも隆も将棋はやらないからな」
「俺も同じです。ぜひ一局、お手合わせお願いします」
という事で、父と社長はさっさと父の部屋へ行ってしまった。
直哉さんに取り残された私は、ちょっと寂しい気持ちになり、「はあー」と溜息をついた。
「舞、大金星じゃない?」
「そ、そうかな。うふ」
「幸せよね?」
「うん。すっごく、幸せ」
「だよねえ。直哉さんって、すごく素敵だもの」
そう言って、母はまたもや目をハートにした。
「なんでお母さんが赤い顔するのよ?」
「それくらい、いいでしょ? 私だって、女なんだから……」
「知らなかった」
「ま、失礼な。それはそうと、そろそろ夕飯の支度をしなくっちゃ。舞も手伝いなさい」
「はーい」
「今は七冠だ」
父と社長がハモった。
「俺も彼を応援してるよ。彼の将棋は凄いよ。AI超えだからな」
「社長は、去年の王座戦を観ましたか?」
「お父さん、直哉さんを”社長”って呼ぶのはやめない? 会社にいるみたいだから」
「だったら、何てお呼びすればいいんだ?」
「普通に”直哉君”でいいんじゃない。ねえ、直哉さん」
「おお、ぜひそうしてほしい。お義父さん、第3局ですよね? 八冠を達成した」
「そうそう。あれは痺れたねえ」
「はい。形勢1パーセントからの大逆転ですからね。鳥肌が立ちましたよ」
父と直哉さんは、二人の世界に入ってしまったみたいだ。
「社長、じゃなかった直哉君、一局差しませんか?」
「え? お父さんって、いわゆる”観る将”じゃないの?」
父が誰かと将棋を差すのは見た事ないと思う。父の部屋には立派な将棋盤があるけど、私はてっきり飾りだと思っていた。
「相手がいないだけだ。おまえも隆も将棋はやらないからな」
「俺も同じです。ぜひ一局、お手合わせお願いします」
という事で、父と社長はさっさと父の部屋へ行ってしまった。
直哉さんに取り残された私は、ちょっと寂しい気持ちになり、「はあー」と溜息をついた。
「舞、大金星じゃない?」
「そ、そうかな。うふ」
「幸せよね?」
「うん。すっごく、幸せ」
「だよねえ。直哉さんって、すごく素敵だもの」
そう言って、母はまたもや目をハートにした。
「なんでお母さんが赤い顔するのよ?」
「それくらい、いいでしょ? 私だって、女なんだから……」
「知らなかった」
「ま、失礼な。それはそうと、そろそろ夕飯の支度をしなくっちゃ。舞も手伝いなさい」
「はーい」