チャラい社長は私が教育して差し上げます!
会社に戻ると、私は早速今日撮った動画の編集に取り掛かった。と言っても、4つの動画を連結するだけなんだけど。

まずUSBケーブルでスマホとPCを繋ぎ、スマホからPCへ動画をコピー。次にPCでフリーの動画編集ソフトをインストール。そのソフトを起動し、やや苦戦しつつも、何とか4つの動画を1つに出来た。

1つにした動画をファイルサーバーの『GP』フォルダーにコピーし、私は社長室に入って行った。

「社長、動画を『GP』フォルダに保存したので、後で良いのでご確認頂けますか?」

「おお、ご苦労様。今見るから、ちょっと待ってくれ」

「承知しました。社長、コーヒーをお淹れしましょうか?」

「ああ、いいね。お願いします」

「かしこまりました」

私は社長室を出て給湯室へ向かったのだけど、中から女性の話し声が聞こえ、手前で足を止めた。

「最近の社長って格好いいよね? 私、告っちゃおうかなあ」

先輩達が社長の噂話をしているらしい。今の社長なら、噂の種にもなるよね……

「残念でした。社長にはフィアンセがいるらしいよ。しかも若くて可愛いんだって」

えっ、それって私の事? バレるの早過ぎない?

「なんだあ、それじゃあ無理じゃん。どこかにいい男いないかなあ」

私は先輩達と入れ替わりに給湯室へ入り、今聞こえた話にもやもやしつつ、社長のコーヒーをカップに注ぎ、それを持って社長室へ戻った。

社長は、脚を組んでソファに浅く座り、スマホで誰かと通話をしていた。私は社長の前のローテーブルにコーヒーを静かに置き、社長にお辞儀をして立ち去ろうとしたのだけど、

「舞は関係ないだろ!?」

と、社長は通話相手に怒鳴り、私はその場から動けなくなってしまった。
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