チャラい社長は私が教育して差し上げます!
社長の実家
「俺一人で行く。彼女をそんな所に連れて行けないから。……ああ、そのぐらいかな。じゃ」
社長は通話を終えると、ばつが悪そうな顔を私に向けた。
「舞に聞かれちまったけど、おまえは何も心配するな。俺の問題だから」
「社長には、フィアンセがいるの?」
「な、なんでそれを……」
「さっき、噂話を聞いちゃったの」
社長はあからさまに動揺し、否定しなかった。という事は、噂は本当なんだ……
「社長の嘘吐き!」
私は泣きそうになり、その場を逃げ出そうとしたのだけど、
「待て。誤解すんな!」
私は社長に腕を引かれ、抱き締められてしまった。
「誤解なの?」
社長の顔を見上げて聞くと、
「そうさ。たぶん、彼女が言い触らしてるんだと思う」
真っ直ぐに私の目を見て、社長はそう答えた。私はそんな社長を、信じたいと思った。
「彼女って?」
「本阿弥紗耶香さんだ」
「『紗耶香ちゃん』? 彼女とも、別れてくれたんじゃないの?」
「ああ。きっぱり別れた。彼女も納得したと思ったんだが、おそらく会長に泣きついたんだと思う」
「会長って?」
「紗耶香さんの祖父で、本阿弥財団の会長だよ。うちの会社の大株主で、俺の両親はあの人に頭が上がらないんだ。
さっきの電話はおふくろからで、俺が紗耶香さんを弄んだと言ってカンカンに怒ってた。今夜、紗耶香さんとご両親が実家に来るから、俺も来いと言われたんだ。
俺は紗耶香さんとは同意の上で別れたし、舞という結婚を考えてる恋人がいると言ったんだが、だったら舞も連れて来いと言われた。しかし俺は一人で行くと言った。そんな所に舞を連れて行ったら、舞が傷付くのは明らかだから」
私は少し考え、
「私も行きます」
と、社長に言った。社長のお母様が私に会いたいと仰るなら、私は逃げたくないと思ったから。例え傷付く結果になったとしても。
「ダメだ。俺は舞が傷付く姿を見たくない」
「私、逃げたくないの。直哉さんと一緒に戦いたい。だから、連れて行ってください」
「そうか、わかった、行こう。俺はおまえを、絶対に守る」
「直哉さん……」
社長は通話を終えると、ばつが悪そうな顔を私に向けた。
「舞に聞かれちまったけど、おまえは何も心配するな。俺の問題だから」
「社長には、フィアンセがいるの?」
「な、なんでそれを……」
「さっき、噂話を聞いちゃったの」
社長はあからさまに動揺し、否定しなかった。という事は、噂は本当なんだ……
「社長の嘘吐き!」
私は泣きそうになり、その場を逃げ出そうとしたのだけど、
「待て。誤解すんな!」
私は社長に腕を引かれ、抱き締められてしまった。
「誤解なの?」
社長の顔を見上げて聞くと、
「そうさ。たぶん、彼女が言い触らしてるんだと思う」
真っ直ぐに私の目を見て、社長はそう答えた。私はそんな社長を、信じたいと思った。
「彼女って?」
「本阿弥紗耶香さんだ」
「『紗耶香ちゃん』? 彼女とも、別れてくれたんじゃないの?」
「ああ。きっぱり別れた。彼女も納得したと思ったんだが、おそらく会長に泣きついたんだと思う」
「会長って?」
「紗耶香さんの祖父で、本阿弥財団の会長だよ。うちの会社の大株主で、俺の両親はあの人に頭が上がらないんだ。
さっきの電話はおふくろからで、俺が紗耶香さんを弄んだと言ってカンカンに怒ってた。今夜、紗耶香さんとご両親が実家に来るから、俺も来いと言われたんだ。
俺は紗耶香さんとは同意の上で別れたし、舞という結婚を考えてる恋人がいると言ったんだが、だったら舞も連れて来いと言われた。しかし俺は一人で行くと言った。そんな所に舞を連れて行ったら、舞が傷付くのは明らかだから」
私は少し考え、
「私も行きます」
と、社長に言った。社長のお母様が私に会いたいと仰るなら、私は逃げたくないと思ったから。例え傷付く結果になったとしても。
「ダメだ。俺は舞が傷付く姿を見たくない」
「私、逃げたくないの。直哉さんと一緒に戦いたい。だから、連れて行ってください」
「そうか、わかった、行こう。俺はおまえを、絶対に守る」
「直哉さん……」