チャラい社長は私が教育して差し上げます!
私達が客間に行くと、6人がほぼ一斉に立ち上がった。

「お待たせしました。こちらは、俺の秘書で恋人の朝倉舞さんです」

「朝倉舞と申します。突然お邪魔して、すみません」

私は、誰にともなく挨拶をし、ペコっとお辞儀をした。

「こっちは俺の母で、隣が父。その隣は俺の姉」

亜希子(あきこ)です。よろしくね?」

「あ、よろしくお願いします」

お姉様の亜希子さんは、思った通りすごく綺麗な人だった。凛々しくて、クールビューティな感じ。しかも、私に笑顔を見せてくれた。

亜希子さんは、私達の味方かもしれない。とても意外なのだけど。

「そして、こちらは本阿弥紗耶香さんとご両親だ」

紗耶香さんのご両親は、私にうやうやしくお辞儀をしてくれたけど、紗耶香さんは、怖い目で私を睨んでいた。

紗耶香さんって、顔は可愛いとは思うけど、いかにも高慢ちきなお嬢様って感じで、私は好きになれないと思った。直哉さんって、女性の趣味があまり良くないのではないかしら。

そう言えば、前に恵子も、『頭が軽そうな女の子ばかり』みたいな事を言ってたと思う。

あ。だったら……私もなの? かなりショックなんですけど!

「お座りになって?」

お母様の言葉で、みんなはコの字型のソファに座った。和室でなくて良かった。私、正座ってすごく苦手だから。

私は直哉さんの横に座らせて頂き、三田さんが私達の前にお茶を置いてくれたのだけど、

「悪いけど、三田さんは外してくださる?」

と、お母様は言い、

「そうですよね。失礼しました」

と言って三田さんは部屋を出て行った。どうやら三田さんは、これから始まるであろう修羅場を、見学したかったらしい。

私は三田さんに共感した。私も気楽な傍観者なら、どんなにか良かっただろう、と思った。
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