チャラい社長は私が教育して差し上げます!
「直哉は、一人で来るんじゃなかったの?」
口火を切ったのは、やはりお母様だった。
「舞が来たいって言ったんだ」
「あら、しっかりしたお嬢さんね?」
私の脳は、『しっかりした』を『図々しい』に変換していた。
「まあいいわ。話が早いから。直哉は、紗耶香さんに一方的に別れ話をしたそうね?」
「別れ話を持ち掛けたのは俺だが、紗耶香さんは同意してくれたはずだ。俺は顔を叩かれたし。な?」
と直哉さんは紗耶香さんに振ったのだけど、紗耶香さんは、プイっと横を向いた。すごくあからさまに。
紗耶香さんって、とうに二十歳は過ぎてるだろうに、なんて子どもっぽいんだろう。
「紗耶香さん、どうなのかしら? 直哉に同意したの?」
「あん時はしちゃったけど、あとで後悔したの。アタシ、直くんとはやっぱり別れない」
紗耶香さんの、こういう話し方に慣れているであろうご両親を除くみんなは、目が点になってしまった。
お母様は、気を取り直すかのようにコホンと咳ばらいをした。
「直哉、そういう事なら、紗耶香さんとのお付き合いを継続しなさい」
え? なんでそうなるの? 全然理屈になってないじゃない!
「バカ言うなよ。俺の気持ちはどうなるんだ?」
「わがまま言わないで! あなた、自分の立場が解ってるの?」
「俺のじゃなくて、おふくろのだろ? おふくろは本阿弥財団の、会長の機嫌を損ねたくないんだろ?」
「そ、そうよ。当然でしょ。ねえ、お父さん?」
「それはまあ、そうかな。あの爺さん、じゃなかった会長を怒らせるのは、会社としてはかなりまずいわけで……」
お父様って、直哉さんが言った通り、ちゃらんぽらんなんだ。もう少し威厳のある方だと思ってたのに、残念だわ。
「会社だけじゃないわ。神徳家だって、どんな目に遭うか。だから直哉は、黙って私の言う通りにして頂戴」
「嫌だ。俺が愛してるのは舞なんだ。結婚したいと思ってる。何なら、この家と縁を切ってもいい」
直哉さん、そこまで私の事を……?
嬉しくて、涙がじわっと湧いてきた。
口火を切ったのは、やはりお母様だった。
「舞が来たいって言ったんだ」
「あら、しっかりしたお嬢さんね?」
私の脳は、『しっかりした』を『図々しい』に変換していた。
「まあいいわ。話が早いから。直哉は、紗耶香さんに一方的に別れ話をしたそうね?」
「別れ話を持ち掛けたのは俺だが、紗耶香さんは同意してくれたはずだ。俺は顔を叩かれたし。な?」
と直哉さんは紗耶香さんに振ったのだけど、紗耶香さんは、プイっと横を向いた。すごくあからさまに。
紗耶香さんって、とうに二十歳は過ぎてるだろうに、なんて子どもっぽいんだろう。
「紗耶香さん、どうなのかしら? 直哉に同意したの?」
「あん時はしちゃったけど、あとで後悔したの。アタシ、直くんとはやっぱり別れない」
紗耶香さんの、こういう話し方に慣れているであろうご両親を除くみんなは、目が点になってしまった。
お母様は、気を取り直すかのようにコホンと咳ばらいをした。
「直哉、そういう事なら、紗耶香さんとのお付き合いを継続しなさい」
え? なんでそうなるの? 全然理屈になってないじゃない!
「バカ言うなよ。俺の気持ちはどうなるんだ?」
「わがまま言わないで! あなた、自分の立場が解ってるの?」
「俺のじゃなくて、おふくろのだろ? おふくろは本阿弥財団の、会長の機嫌を損ねたくないんだろ?」
「そ、そうよ。当然でしょ。ねえ、お父さん?」
「それはまあ、そうかな。あの爺さん、じゃなかった会長を怒らせるのは、会社としてはかなりまずいわけで……」
お父様って、直哉さんが言った通り、ちゃらんぽらんなんだ。もう少し威厳のある方だと思ってたのに、残念だわ。
「会社だけじゃないわ。神徳家だって、どんな目に遭うか。だから直哉は、黙って私の言う通りにして頂戴」
「嫌だ。俺が愛してるのは舞なんだ。結婚したいと思ってる。何なら、この家と縁を切ってもいい」
直哉さん、そこまで私の事を……?
嬉しくて、涙がじわっと湧いてきた。