【番外編】イケメン警察官に2人ごと守られて。
涼介はそんな様子を見逃さなかった。
そして、何気ないふうを装って、さらりと訊いた。

「……なあ、今日、仕事でなんかあった?」

その声は、驚くほど優しかった。

美香奈は、びっくりしたように涼介を見上げた。
そして、ぎこちなく笑う。

「なんで、わかるの?」

涼介はにやっと笑った。

「そりゃ、俺だからな。なんでもわかる」

冗談めかして言ったけど、その目は本気だった。
美香奈は、少し迷ったあと、そっと言葉を落とす。

「──警察署で、ちょっとね。嫌なこと言われたの」

ゼリーを見つめたまま、小さな声で続ける。

「……奥さんはいいご身分だって。
……それだけなんだけど、すごく、刺さって」

涼介は、美香奈の細い肩を包むように手を伸ばした。

「それ、捜査一課のやつか?」

美香奈は小さく頷いた。

涼介は、一拍置いてから、静かに言った。
「続くようなら、篠宮さんに話す。放っとくわけにはいかない」

美香奈は驚いたように涼介を見た。
その真剣な目に、胸の奥がじんわりあたたかくなる。

「……ありがとう」
か細く呟くと、美香奈はミルクをまた一口飲んだ。

甘い温かさが、じんわりと体に広がる。
そして、静かな夜に、2人だけの、穏やかな時間が流れた。
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