【番外編】イケメン警察官に2人ごと守られて。
ミルクとゼリーを食べ終えたあとも、
2人はしばらくダイニングで向かい合って座っていた。

言葉は少なかったけれど、不思議と不安はなかった。
ただ、お互いの存在が、そばにある──
それだけで、胸が満たされていく。

ふと、涼介が立ち上がった。
そして、美香奈のほうへ回り込むと、
座ったままの美香奈を、後ろからそっと抱きしめた。

「……今日も、頑張ったな」

低く、優しい声が耳元に落ちる。
美香奈は目を閉じて、涼介の腕に身を預けた。

「……涼介……」

呼ぶだけで、胸の奥がじんわりあたたかくなる。

涼介は、そっと美香奈の髪にキスを落とした。
柔らかな髪を撫で、耳たぶに軽く触れ、
それから、頬に、額に、唇に──。

「……愛してる」

ぽつりと、涼介は呟くように言った。

美香奈は、震える指先で涼介のシャツの裾を握った。
涼介の手が、美香奈の手の甲をすくい取るように撫で、
そのまま、優しく、何度もキスを落とす。

夜の静けさのなか、
ただ2人の吐息だけが重なり合った。

ベッドへ向かう道すがらも、
涼介は美香奈から離れなかった。
手を引き、抱き寄せ、耳元に甘く囁き、
唇を何度も重ねた。

──ずっと、守りたい。
──もう二度と、ひとりで泣かせない。

涼介の本音が、触れるたびに伝わってくる。

美香奈も、涼介にぴたりと寄り添い、
小さな声で「大好き」と何度も囁いた。

──やっと、安心できた。
──やっと、心の奥まで、温まった。

そんな夜だった。
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