【番外編】イケメン警察官に2人ごと守られて。
**
──そのころ、警察署では。
捜査一課の会議室に、涼介の姿があった。
同僚たちと資料を確認しながらも、
彼は、ある女性警察官をちらりと見やった。
美香奈が、昨日、地味な嫌がらせを受けたと話していた人だ。
(……あいつには、絶対にそんな思い、させたくない)
涼介は、机に広げた書類を手早くまとめると、
女性警察官がひとりになるタイミングを見計らって、静かに近づいた。
そして、落ち着いた声で言った。
「……仕事中に、個人的な感情を持ち込むなよ」
声を荒げるわけでも、怒鳴るわけでもない。
ただ、淡々と、けれど鋭く突き刺さる言葉だった。
女性警察官は、ばつが悪そうに顔を伏せた。
涼介はそれ以上何も言わず、背を向けた。
彼にとっては、それで十分だった。
──大事な人を、守るために。
**
夕方――
美香奈は、仕事を終えて帰宅する電車の中で、
また涼介からメッセージが届いていることに気づいた。
《今日は農家のイタリアンっていう店でテイクアウトしてく。
食べたいものある?》
スマホを握ったまま、美香奈は小さく笑った。
(……帰ったら、ちゃんと「おかえり」って言おう)
そう心に決めながら、最寄り駅に降り立った。
──今日は、あたたかい夜になる予感がしていた。
──そのころ、警察署では。
捜査一課の会議室に、涼介の姿があった。
同僚たちと資料を確認しながらも、
彼は、ある女性警察官をちらりと見やった。
美香奈が、昨日、地味な嫌がらせを受けたと話していた人だ。
(……あいつには、絶対にそんな思い、させたくない)
涼介は、机に広げた書類を手早くまとめると、
女性警察官がひとりになるタイミングを見計らって、静かに近づいた。
そして、落ち着いた声で言った。
「……仕事中に、個人的な感情を持ち込むなよ」
声を荒げるわけでも、怒鳴るわけでもない。
ただ、淡々と、けれど鋭く突き刺さる言葉だった。
女性警察官は、ばつが悪そうに顔を伏せた。
涼介はそれ以上何も言わず、背を向けた。
彼にとっては、それで十分だった。
──大事な人を、守るために。
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夕方――
美香奈は、仕事を終えて帰宅する電車の中で、
また涼介からメッセージが届いていることに気づいた。
《今日は農家のイタリアンっていう店でテイクアウトしてく。
食べたいものある?》
スマホを握ったまま、美香奈は小さく笑った。
(……帰ったら、ちゃんと「おかえり」って言おう)
そう心に決めながら、最寄り駅に降り立った。
──今日は、あたたかい夜になる予感がしていた。