【番外編】イケメン警察官に2人ごと守られて。
美香奈と涼介は、
「たまには顔を見せに来てちょうだいね。時間があったらでいいから」
――そんな涼介の母、恵からの優しい連絡を受け、久しぶりに実家を訪れることにしていた。
暖かい午後。二人並んで実家の玄関をくぐると、懐かしい香りと共に、恵の明るい声が迎えてくれる。
「涼介、美香奈ちゃん、よく来たわね!」
恵の顔に浮かんだ嬉しそうな笑顔に、美香奈も自然とほっとした表情になる。
どこか他愛もない会話を交わしながら、二人はリビングへと案内された。
「最近、友達が結婚して……結婚式に行ってきたんです」
美香奈が、緊張したように、それでも笑顔で近況を報告した。
涼介の両親は、目を細めながらうなずいた。
「そう。お友達、幸せそうだったでしょう?」
恵がにこやかに尋ねる。
「はい、とっても」
美香奈は答えながら、胸の奥に小さな棘のようなものを感じた。
だけど、涼介がそっと美香奈の手に触れてくれる。
それだけで、不思議と心が温かくなった。
すると、恵が、少し遠慮がちに口を開いた。
「ねえ、美香奈さん。……もし、嫌じゃなければだけど」
美香奈は首を傾げる。
「……?」
「あなたたちの晴れ姿、見てみたいなって。思ってたのよ」
美香奈は目を丸くした。
一瞬、返事に詰まる。
でも、父 弘信が、照れたように笑って話を引き継いだ。
「実はな……俺が役員をやってる旅行会社で、最近新しいフォトウエディングのプランを作ったんだ」
「フォトウエディング……?」
「うん。ドレスもレンタルで、サイズとデザインだけ決めたら、あとはプランナーが色々整えてくれる。旅行も兼ねて、三泊四日。式を挙げない人たち向けの新しいサービスでな」
涼介が「へえ」と感心したように声をあげる。
美香奈も、そっと耳を傾けた。
「……それを、プレゼントさせてくれないか。二人に」
弘信は、まっすぐに言った。
「もちろん、俺のビジネスの都合もある。正直な話、まだこのプランは誰にも使ってもらってない。君たちが使ってくれたら、感想を聞かせてほしいんだ。だけど……それ以上に」
言葉を切って、涼介父は、柔らかく笑った。
「……親として、君たちの幸せな姿を、ちゃんと見たいんだよ」
その言葉に、美香奈は喉が詰まった。
何も言えずに、涼介の顔を見ると、涼介も、静かに頷いていた。
──こんなふうに、
誰かに「見たい」と思ってもらえる自分がいるなんて、
昔の自分には、想像もできなかった。
胸がじんと熱くなる。
美香奈は、両手を膝の上できゅっと握りしめてから、
そっと、頭を下げた。
「……はい。お願いします」
両親は、パッと顔を明るくした。
涼介は、そんな美香奈を見ながら、優しく肩を抱き寄せた。
「楽しみだな」
耳元で、低く優しい声がして、
美香奈は顔を上げると、恥ずかしそうに微笑んだ。
──今度は、
私たちの幸せを、ちゃんと形にできるんだ。
そう思ったら、胸の奥から、じんわりと喜びがあふれてきた。
「たまには顔を見せに来てちょうだいね。時間があったらでいいから」
――そんな涼介の母、恵からの優しい連絡を受け、久しぶりに実家を訪れることにしていた。
暖かい午後。二人並んで実家の玄関をくぐると、懐かしい香りと共に、恵の明るい声が迎えてくれる。
「涼介、美香奈ちゃん、よく来たわね!」
恵の顔に浮かんだ嬉しそうな笑顔に、美香奈も自然とほっとした表情になる。
どこか他愛もない会話を交わしながら、二人はリビングへと案内された。
「最近、友達が結婚して……結婚式に行ってきたんです」
美香奈が、緊張したように、それでも笑顔で近況を報告した。
涼介の両親は、目を細めながらうなずいた。
「そう。お友達、幸せそうだったでしょう?」
恵がにこやかに尋ねる。
「はい、とっても」
美香奈は答えながら、胸の奥に小さな棘のようなものを感じた。
だけど、涼介がそっと美香奈の手に触れてくれる。
それだけで、不思議と心が温かくなった。
すると、恵が、少し遠慮がちに口を開いた。
「ねえ、美香奈さん。……もし、嫌じゃなければだけど」
美香奈は首を傾げる。
「……?」
「あなたたちの晴れ姿、見てみたいなって。思ってたのよ」
美香奈は目を丸くした。
一瞬、返事に詰まる。
でも、父 弘信が、照れたように笑って話を引き継いだ。
「実はな……俺が役員をやってる旅行会社で、最近新しいフォトウエディングのプランを作ったんだ」
「フォトウエディング……?」
「うん。ドレスもレンタルで、サイズとデザインだけ決めたら、あとはプランナーが色々整えてくれる。旅行も兼ねて、三泊四日。式を挙げない人たち向けの新しいサービスでな」
涼介が「へえ」と感心したように声をあげる。
美香奈も、そっと耳を傾けた。
「……それを、プレゼントさせてくれないか。二人に」
弘信は、まっすぐに言った。
「もちろん、俺のビジネスの都合もある。正直な話、まだこのプランは誰にも使ってもらってない。君たちが使ってくれたら、感想を聞かせてほしいんだ。だけど……それ以上に」
言葉を切って、涼介父は、柔らかく笑った。
「……親として、君たちの幸せな姿を、ちゃんと見たいんだよ」
その言葉に、美香奈は喉が詰まった。
何も言えずに、涼介の顔を見ると、涼介も、静かに頷いていた。
──こんなふうに、
誰かに「見たい」と思ってもらえる自分がいるなんて、
昔の自分には、想像もできなかった。
胸がじんと熱くなる。
美香奈は、両手を膝の上できゅっと握りしめてから、
そっと、頭を下げた。
「……はい。お願いします」
両親は、パッと顔を明るくした。
涼介は、そんな美香奈を見ながら、優しく肩を抱き寄せた。
「楽しみだな」
耳元で、低く優しい声がして、
美香奈は顔を上げると、恥ずかしそうに微笑んだ。
──今度は、
私たちの幸せを、ちゃんと形にできるんだ。
そう思ったら、胸の奥から、じんわりと喜びがあふれてきた。