【番外編】イケメン警察官に2人ごと守られて。

ホテルの部屋に戻ると、涼介は扉の前でふと立ち止まり、美香奈に向かって優しく言った。

「ちょっと、ここで待ってて」

そう言って先に部屋に入ると、中で何やら軽く準備を整える気配がした。

数十秒後、「どうぞ」と合図があり、美香奈は静かに中へ入る。

その瞬間――

美香奈の目に飛び込んできたのは、ベッドの上に丁寧に畳まれた一着のワンピースだった。

淡いベージュに、細やかなレースの装飾。上品でありながら、どこか可憐な空気をまとったそのワンピースは、まるで美香奈の雰囲気そのものだった。

「……これ、私に？」

息を呑みながら問いかけると、ソファに腰掛けていた涼介が、少しだけ照れたように微笑んだ。

「うん。見つけた時、美香奈に似合うって思ったんだ。迷わず選んだよ」

美香奈はその言葉に胸がふわりと温かくなるのを感じながら、そっとワンピースに触れた。

「でも、こんな……」

躊躇うように言いかけたその言葉を、涼介がやさしく遮る。

「今夜は、ただの食事じゃない。美香奈と俺の、大切な時間にしたいと思ってる」

その一言が、美香奈の心に静かに、でも確かに染みわたっていった。

言葉にならない感情が胸にこみ上げ、瞳の奥に涙がにじむ。

「ありがとう、涼介……」

美香奈はそのままワンピースを抱きしめるように胸にあて、小さく微笑むと――

「じゃあ、着替えてくるね」

涼介は頷きながら、そっと目を伏せた。

それはまるで、互いの気持ちをそっと包み込むような、静かで優しいやりとりだった。