【番外編】イケメン警察官に2人ごと守られて。
掃除機をかけるときも、テレビ台のほこりを拭き取るときも──
美香奈はずっと、涼介のパーカーをだぼっと羽織ったままだった。

時折、袖口をそっと鼻先に寄せて、ふわりと香りを確かめるような仕草をする。
その無意識な動きが、涼介にはたまらなく愛おしく映った。

「……なあ、」
ソファに腰掛けながら涼介が声をかけた。
「なんでずっと着てんの?もう寒くないだろ。」

美香奈はふふっと笑って、袖口に顔をうずめたまま答えた。

「なんかね、ハマっちゃった。涼介の匂い、ずっと感じられるし。」

その言葉に、涼介の胸がくすぐったくなる。
ちょっとだけ、照れたように眉をしかめながら、冗談めかして言った。

「俺、そのパーカー着たいんだけど。」

すると、美香奈は顔を上げ、悪戯っぽい笑みを浮かべた。

「……ちょっと無理。」

きっぱりとしたその一言に、涼介は小さく笑いながら、降参するしかなかった。
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