【番外編】イケメン警察官に2人ごと守られて。
数日後。
美香奈は真木弁護士の事務所に呼ばれ、正式にプロジェクト立ち上げの打ち合わせに参加することになった。

会議室には、真木弁護士のほか、これまで支援活動に関わってきた数名のスタッフが集まっていた。
テーブルの上には新しい支援プロジェクトの概要が記された資料が並べられ、美香奈の席にも同じものが用意されている。

「今回のプロジェクト名は『セーフ・サポート・ネット』とすることにしました。」
真木弁護士は落ち着いた声で言った。

「被害者支援をより専門的に、迅速に。法的支援だけでなく、心理面や生活再建まで、一貫してサポートできる体制を作りたい。
 ……そこで、このチームを美香奈さんにまとめてもらいたいと思っています。」

改めて、正式な依頼の言葉を受け、美香奈は心を引き締めた。
同時に、チームメンバーたちのあたたかな視線が注がれているのを感じた。
誰もが、美香奈のこれまでの支援活動を知っていて、信頼を寄せてくれているのだ。

「……微力ですが、精一杯努めます。」

しっかりと答えると、真木弁護士は満足そうに頷き、すぐに具体的な作業へと入った。

チーム内の役割分担、支援フローの整備、関係機関との連携方法――
次々と検討事項が上がり、美香奈はメモを取りながら、時折意見を出していった。
これまでは個別対応だった支援が、チームとして機能することで、より多くの人を助けることができる。
その実感に、胸の奥が熱くなる。

会議の終わりに、真木弁護士が微笑んだ。

「美香奈さん、リーダーとしての一番の役割は、“支援を必要とする人たちの目線を忘れないこと”です。
 どうか、今のあなたらしさを、そのままチームにも伝えてください。」

「はい。」

まっすぐ頷くと、温かな拍手が会議室に広がった。

美香奈は新しい一歩を、確かに踏み出したのだった。
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