【番外編】イケメン警察官に2人ごと守られて。

記憶と対峙する日

―――東京地方裁判所立川支部の刑事第2法廷。



傍聴席には重い空気が漂っていた。

前列中央、美香奈は背筋を伸ばして座っていた。
その右手に涼介、左手には真木弁護士が静かに寄り添う。

初秋の柔らかな光が、法廷の高窓から差し込むなか、
扉が静かに開き、裁判官が着席の合図を出した。

「それでは、ただいまより、令和6年(わ)第106号事件の審理を開始します」

場内が静まりかえる。

被告人・中原孝志が、手錠と腰縄をつけたまま、
傍らの警備員に付き添われながら被告人席へと導かれた。

美香奈の心拍が、ひときわ高鳴る。
隣の涼介が小さく目を伏せながら、
そっと彼女の膝の上に置かれた手に触れた。
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