【番外編】イケメン警察官に2人ごと守られて。
被告人質問。
中原孝志は、弁護人の促しに従って立ち上がった。

裁判官の指示により、被告人本人に反省の有無を問う質問が投げかけられる。

「あなたは、起訴内容について間違いありませんか?」

中原は、顔を伏せたまま、ぽつりと「……間違いありません」と答えた。
声はかすれ、聞き取りづらい。
しかしその姿勢には、深い反省というよりも、
単なる諦めの色が滲んでいるように、美香奈には見えた。

「なぜこのような犯行に及んだのか、理由を述べてください」

「……一方的に、好意を持って……でも、拒絶されて、
……どうしても……気持ちを抑えられなかった……」

どこか他人事のような言葉。
美香奈は歯を食いしばり、ただじっと耳を傾けていた。
隣の涼介が、気づかれないほどの微細な動きで、美香奈の指先を軽く包み込んだ。
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