【番外編】イケメン警察官に2人ごと守られて。
────ゆるんだ風に、ほんのりと夏の匂いが混じるようになった。春の終わりは、思ったより静かに訪れる。
神谷宅には穏やかな灯りが灯り、リビングにはふんわりと温かな空気が流れていた。
久しぶりに集まった4人は、テーブルに並べられた手料理を前に、笑いながら談笑していた。
「康太くんの昇進おめでとう。そして……」
美咲がにっこりと笑う。
「ちょっと過ぎたけど大体一周年記念、だね」
彼女が冗談めかして言うと、長谷川が照れたように頬をかいた。
「こうしてまた集まれるの、嬉しいな」
美香奈も微笑んで、グラスに手を伸ばす。
すると、すかさず涼介がそっと差し出してきた。
「美香奈、こっち。ノンカフェインのお茶あるよ」
自然を装いながらも、どこかぎこちない気遣い。
一方、康太も同じように美咲にノンカフェインのハーブティーを手渡している。
「美咲、こっちの方がいいだろ?」
言いながら、少しだけ緊張した笑み。
――これには、美香奈も美咲も、思わず小さく笑いそうになった。
お互い、わかっている。
今日、この場で言うつもりなのだ。
けれど、男性陣はまだ、互いにそのことを知らない。
女性陣だけが、そっと相手の変化に気づき合い、穏やかな秘密を胸に抱えていた。
ぎこちなく、それでいて一生懸命な夫たちのさりげない気遣いに、
美香奈も美咲も胸の奥がほんのりとあたたかくなる。
まるで、この小さな夜会そのものが、夏の訪れを祝っているみたいだった。
神谷宅には穏やかな灯りが灯り、リビングにはふんわりと温かな空気が流れていた。
久しぶりに集まった4人は、テーブルに並べられた手料理を前に、笑いながら談笑していた。
「康太くんの昇進おめでとう。そして……」
美咲がにっこりと笑う。
「ちょっと過ぎたけど大体一周年記念、だね」
彼女が冗談めかして言うと、長谷川が照れたように頬をかいた。
「こうしてまた集まれるの、嬉しいな」
美香奈も微笑んで、グラスに手を伸ばす。
すると、すかさず涼介がそっと差し出してきた。
「美香奈、こっち。ノンカフェインのお茶あるよ」
自然を装いながらも、どこかぎこちない気遣い。
一方、康太も同じように美咲にノンカフェインのハーブティーを手渡している。
「美咲、こっちの方がいいだろ?」
言いながら、少しだけ緊張した笑み。
――これには、美香奈も美咲も、思わず小さく笑いそうになった。
お互い、わかっている。
今日、この場で言うつもりなのだ。
けれど、男性陣はまだ、互いにそのことを知らない。
女性陣だけが、そっと相手の変化に気づき合い、穏やかな秘密を胸に抱えていた。
ぎこちなく、それでいて一生懸命な夫たちのさりげない気遣いに、
美香奈も美咲も胸の奥がほんのりとあたたかくなる。
まるで、この小さな夜会そのものが、夏の訪れを祝っているみたいだった。