ぶどうジュースと夏の誓い
✳︎✳︎✳︎
それからも、塾はあったし、朔くんも、あの晩のことが夢だったみたいにフツーだった。
でも、ダルそうではなくなった。
聞いてみると、「朝ごはん、家で食べてから、こっちの朝ごはん屋さんでも食べてるからかな」と幸せそうに笑ってる。
でも、あれから、朝ごはん屋さんに、わたしはなぜだか、顔を出せてなかった。
朔くんとのあの晩の出来事が尊すぎて。
わたしの脳が見せた幻覚なのかなって思ってた。
塾の休み時間、朔くんから一枚のメモ帳を渡された。
「14日、空けてる?」
短い言葉。
夢なんかじやなかったんだね。
「空けてるよ」
わたしはメモ帳の下に書いて、返事した。
「なら良かった」と、朔くんは今度は自分の口で言った。