ぶどうジュースと夏の誓い

 自販機までは徒歩5分。

「今日はとりわけ暑いなー。38度らしいね!」
 
 噴き出る汗をピンク色のタオルで拭きながら、璃奈ちゃんは眉をしかめる。

「あいつ、あんな小さな水筒で、講義中に倒れないのかなー」

 璃奈ちゃんは扇子でパタパタとわたしにも風を送ってくれる。

 いつもの自販機を見つけてわたしたちは小走りになった。
 路地に迷い込んだ観光客が買ったのか。あいにく烏龍茶や緑茶が売り切れていて、ペットボトルのぶどうジュースを二個買った。

 璃奈ちゃんは当たり前のように、塾に引きかえそうとしたけれど。

「ごめん。やっぱり、速水さんの分も買うよ!」

 わたしは大きな声で「宣言」した。

 璃奈ちゃんは目をまんまるく見開いた後、ケラケラ笑う。

「『速水さん』って言い方ー!!! リスペクト半端ねえし! 『朔』でいいじゃん。好きなんでしょ?」

 璃奈ちゃんは大声で笑い、塾の講義の疲れを発散してる。
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