タイプではありませんが
※
「は?」
この場には相応しくは無い言葉。それでも楓は出さずにはいられなかった。
「だから、結婚しようって言ったの」
伝わっていないと思ったのか、同じことを繰り返す星野を片手を上げて止める。
そしてその上げた手をそのまま額に持って拳を押し付ける。
なんでこんな話になるんだ、終わりにしようと思っていたのに。
まさかの展開に頭の回転がついていけない。
「あっ」
星野が声を上げてカバンをガサガサする。
と、小さな箱を取り出してテーブルに置いた。
「ミスったからやり直していい?」
「……なにを?」
「プロポーズ」
三回目は聞けない。急に痛くなった頭を抱えながら楓は断る。
「もう勘弁して」
星野も流石にやり過ぎと思ったのか。ごめん、と謝るとその小さな箱を差し出した。
「指輪はサイズわからなかったから」
そういって開けた箱の中には時計が入っていた。
楓が今つけているものと同じメーカーの時計。
だが、楓は時計よりも箱が小刻みに震えているほうが気になった。