タイプではありませんが
「ホッシー?」
自分の手を見ている楓に気づいた星野は笑った。
その笑みはどこか固い。
「緊張してるの?」
楓の問いかけに星野は答えた。
「そりゃあするよ。だってこんな言葉伝えるの、初めてだし」
ふぅ、と息を吐いた星野は恥ずかしそうに言う。
「もっと格好つけて言いたかったのに。焦って頭の中、真っ白になるし。時計も出し忘れるし」
情けな、と自嘲するように呟くと、頬を両手で軽く叩く。
仕切り直しのように気合をいれた星野は、咳払いを一つして楓に新ためて向かい合った。
「結婚しようよ。タイプじゃないこと知ってるけど、それを覆すくらい幸せにするから」
星野のプロポーズに楓は黙る。
自分も言わないといけないのに、星野の真剣さに押されてしまう。
変な沈黙が下りる場を破ったのは、星野だった。