タイプではありませんが
「営業時は有給使用日が決まっていただろうけど、総務は使用日がないから、自分で有給使っていってね」
楓は戸惑った。有給なんか入社して数えるほどしか使ったことがないからだ。
顔に出ていたのだろう、課長は楓を安心させるように笑いかけた
「他の部から移ってきた人はみんなそんな反応してるわ。その内慣れるわ」
そして、課長は付け加えた。
「有給を自分の為に使えるのはある意味贅沢よ。ここで働いているのはお母さんが多いから、有給は子どものために使っている人ばかり。せっかくの有給だから、旅行行ったり自己啓発したり、
一日中家で寝てみたり。自分のために思う存分使えるのって独身の今しかないから」
「分かりました」
課長の言葉に楓は深くうなづいた。
自分のための贅沢。
営業のままならピンと来ていない言葉だが、今の楓には響く。
周りにいるのは忙しく働いている子育て世帯の女性たちが大半だからだ。