タイプではありませんが


 彼女たちはそう言って明るく笑うのだ。

 最初見たときは衝撃的だった。あまりにも前の部署(ところ)とやり方が違うから。
 だけど、持病で一度横道にそれた楓には、目からうろこだった。
 こういう働き方もあるのだ、と。
 そして、自分があまりにも盲目的だったことを。

 がむしゃらに働けば結果がついてきた。そのために残業も休日出勤も厭わなかった。
 休みの日でも電話が鳴るし、その環境が当たり前だと思っていた。
 そんな働き方じゃないと成績が伸ばせないと思い込んでいた。

 でもそれじゃあダメなのだ。
 異動を告げられた時はわからなかったけれど。
 楓は営業部の部長に感謝をする。
 ここに異動させてくれてありがとうございます、と。


 楓は初めて自分を労るために有給を申請したのだった。
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