タイプではありませんが
18.調って残ったもの
「よっ、久しぶり」
星野と自販機のところでバッタリあったのはGWも過ぎて仕事が落ち着いて来た頃だった。
気まずい。
そう思っていたのは楓だけだったようだ。
星野はいつもと変わらぬ口調で話しかけてくる。
「新しい部署は慣れた?」
「う、うん」
ガコン、と星野の飲み物が出てくる音がする。
屈みながらそれを取り出した星野は楓に差し出した。
「はい」
「え?」
戸惑う楓に無理やり押し付けると、星野はもう一本――今度は自分のために買う。
楓は手のひらに押し付けられた缶を見る。
楓が購入しようと思っていたカフェオレだ。コーヒーの缶よりずんぐりしていて、ひんやりとした感触が心地いい。
星野はブラックコーヒーの缶のプルタブを開けてその場で飲みながら楓に微笑む。
「よかった。営業にいた頃みたいに生き生きしてる」