タイプではありませんが



 気楽な同僚、男友達。

 ずっとそのポジションでいてくれたら、どんなに心強かっただろう。

 ただ、関係は星野からの告白によって変わってしまった。
 そして楓は返事をしないといけない。いや……。
「今のホッシーは聞き入れないからなぁ」

 今日も乗換駅で伝えたのだ。タイプじゃないし、心を動かされることはないと。
 星野は柔和に笑うが、頑として受け入れなかった。
「まだ知らないでしょ、俺のこと。それに今日は楽しくなかった?」
 そう聞かれると、首を左右に振るしかない。
 三ヶ月、と星野は言った。
「三ヶ月でいいからプライベートでも会おうよ。それでも山下が心を動かさなければ……」
「動かなければ?」
 星野はその先は言わなかった。不敵な笑みを浮かべただけ。
 あぁ、と楓は頭を抱えたくなった。こんな顔をしてる時の彼は諦めない。手を変えて長期戦で挑むつもりだ。
「まぁ、三ヶ月付き合ってよ。暇つぶしにさ」
「暇じゃないけど」
「なら病院のついでに」
「病院の時間読めないし」
「俺、待つの好きだよ」
「私は待たせるの苦手」
「なら付き添いで病院まで」
「遠慮しとく」
「出待ちしとくか。山下の名前書いた横断幕もって」
「恥ずかしいからやめてよ」
「なんでや?目立つやん」
「目立たなくていいの!」
「選挙みたくタスキかけとくものええな」
「いや、それもいいし」
「じゃあ、病院終わったら今日みたいに連絡してよ。次いつ?」
「二週間後」
「同じ時間?」
「うん」
「おけ、約束な」
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