タイプではありませんが




 偶然というのは嫌なくらい重なる。
 兄を送った帰りに昔からあるコンビニにストッキングを買いに寄った楓は出入り口で意外な人物と再会した。
 お互いに絶句して、顔を見合わせて。

 話題に出ていた元カレの哲。別れてから一度も会わなかったのに、どうしてこんなタイミングで会うのか。
 哲も同じ気持ちだったようで驚きが半端ない。ちらっと見た薬指に真新しい指輪が光っている。
「……どなた?」
「あぁ、えっと……」
 レジが終わったのだろう、後ろから話しかけてきた女性が楓のことを不思議そうに見つめる。

 その視線で我に返った楓は、哲と奥さんに向かって話しかけた。
「私、彼の高校のクラスメートの山下です。まさか会うと思わなくてびっくりして……。あ、結婚おめでとうございます!」
「あぁ、ありがとう」
「そうだったんですね。ありがとうございます」
 花が咲いたようにパッと笑った彼女は、新婚特有の初々しさと可愛らしさを持っていた。
 そんな彼女を見て、哲も優しく見守る。
< 53 / 166 >

この作品をシェア

pagetop