タイプではありませんが

8.雑煮


 星野から連絡が来たのは、元日のお昼頃だった。
 楓は家族とおせちをつまみつつ、正月特番を見ていた。
 毎年星野からは年明けすぐにメッセージが来ていたから、今年も同じだと思っていた。だが彼からは朝起きても何も届いていなかった。
 楓は若干拍子抜けしつつも、起きぬけの働かない頭で、新年の挨拶を書く。
 同期として。決してそれ以上の意味はない。……きっと。
 楓は自分に言い聞かせるように頷くと送信ボタンをポチリと押した。

 星野から来ていたのは、おめでとう、今年もよろしく、とシンプルに新年の挨拶だけの文章と、添付されていた雑煮の写真。

 半分に箸で割ったのだろう、断面が見えている餅の中には黒っぽいものが間に挟まっている。
 見たことはある。だが、雑煮に入れる餅なのか?
 楓の頭にはてなマークが浮かんだ。
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